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黒デカわんことの死闘

黒い悪魔ことフラットコーテッド・レトリバーの『カイ』との日々や、自分のことをつれづれにつづります☆

解剖学実習。

医学と獣医学の違い。
それは何と言っても解剖学じゃないでしょうか?

医学部の解剖学実習は病気や事故で亡くなられた方、つまり「健康体」ではない献体を使って、ですよね?
それじゃあ獣医学部の解剖学実習は?

獣医学部の解剖実習に使う教室は


健体解剖室


と言います。

健康な牛、馬、犬、鶏などの「家畜」がここで解剖されます。

1回目の実習は骨学実習。
ウマとウシの骨の標本がごっちゃに混ぜられてテーブルの上に置いてあります。
最初は右足と左足の区別もつかないし、これはウマの足?ウシの足?
というかんじで。。。
教科書を睨みながら、格闘すること5時間くらい・・・
たまぁ~に教授が回ってきて、おもむろにその辺の骨をとって
「これはどこの骨でしょう?ウシですか、ウマですか?そう判断した理由は?」
と質問されます。ドキドキです(笑)
隣の優秀な友達の口パクをみながら、セーーーフ(笑)

2回目からはホルスタインの仔牛の解剖。ホルマリン漬けです。
うちの学校は贅沢に(?)、6人で1体使わせてもらえます。
当たり前のことだけど、全部♂。
♀は牛乳が出せるから、6年くらい生きられます。
お乳の出なくなった雌ウシはお肉になります。
雄ウシは生まれて1週間くらいでお肉になります。
そのお肉になるはずだった雄ウシを学校が買い取って、解剖されます。
私たちが飲んでいる牛乳は、たくさんのウシの犠牲のもと、消費者の手に届きます。
獣医学を学んでいると、本当にご飯が残せなくなります。
だって、口にしている全てが何かの犠牲。。。
肉はもちろん、野菜だって生きているんだし。
だから何も食べられないんじゃなくて、ちゃんと感謝していただなきゃなくちゃなぁ~・・・なんて思います。

あ、話がずれた(^_^;)

健体解剖室はホルマリンがこもるのを防ぐため、冬なのに窓が開けっ放しで、部屋の温度は0℃前後。。。
そんな中、私たちが着ているは、普段着の上にオートバックスの従業員が着ているようなつなぎ、解剖用のツルツルしたエプロン、長靴、ゴム製の薄い手袋。
動かないと凍死しそうな寒さ・・・

背中にカイロを貼るとか、中にフリースを着るとか、
できるだけ暖房の前にいる(サボリじゃん!)とか、色々な対策が考え出されていました(笑)。
私は長靴の中にカイロを貼る!という作戦で乗り切りました☆








解剖前に、手術帽を脱ぎ、献体の仔牛に黙祷。
まずは剥皮。仔牛だから脂肪が少なく、剥がしやすい。
ただ、、、ホルマリンが臭い!!!!なんでしょう・・・ウーン・・・アンモニアに似ている気もするし、桃の匂いに似ている気もする・・・。なんかでも人体に有害そうな匂い!
なんだか目に浸みて痛い!!!!!
目だけじゃなくて喉や鼻の粘膜もやられます(^_^;)
声がかすれる!鼻の奥が痛い!
ホルマリンが有害だってよくわかりますねぇ~
ホルマリンの原料はホルムアルデヒド。ホルムアルデヒドはシックハウスの原因物質の一つ。


そもそもなんでホルマリン漬けにするか、、、
それは「固定」するため。細胞の時間を止めてしまいます。
細胞分裂もしなくなるが、腐敗もしなくなる。
つまり、気化したホルマリンを吸うと、鼻も固定されちゃうんじゃ・・・?
とか考えちゃうけど、気にしてたら進みません!

まぁ、ぱぱっとやっちゃいましょう☆ってことで、ひたすら剥皮。
脂肪のない筋肉ってすごいキレイ!ひたすら感動。そして前期の
座学で学んだ解剖の知識がほとんど定着していないことにがっかりする。
「これが僧帽筋でしょう・・・で、こっちが鎖骨乳突筋・・・あれ?ウシって鎖骨ないんじゃなかったっけ?・・・鎖骨ないのって犬だっけ??」と言うような会話があちらこちらで聞かれます(笑)
ここでも教科書と睨めっこ。アンラッキーな人は教科書を床に落として、
ホルマリン漬けの教科書ができあがり(笑)くっさーい!
大体1時半くらいから8時近くまでやって終了。
ほとんど立ちっぱなしの作業。くたくたになって、健体解剖室を後にします。

ま、そっからが悲劇なんだけどねっ
私はうちの大学でも数少ないJR通学。
つまり、髪や手についたホルマリン臭を漂わせながら(洗ってもなかなか取れない気がする)、電車に乗らなければいけないのです!!
乗員、乗客の皆様!大変申し訳ないm(_ _)m
JR仲間の友達と、「うちら絶対臭いよね」と笑いながら(や、笑い事じゃないよね)帰りましたとさ。

こんなことを1ヶ月くらい(実習は週1ペース)やりながら、胃も腸も見せてもらい、仔牛が日に日に小さくなっていきます(取り出した内臓、筋肉は焼却炉へ捨てるので)。とうとう頭と脊柱だけになり、背骨をノコギリで切って
脊髄及び神経を観察。頭蓋も金槌で割って、脳と十二神経を見て終了。
残りの部分も焼却炉へ。

仔牛さん、解剖に付き合ってくれてありがとう。
彼らは天国があるとすれば、そこにいくのかな?

今の時点では私は確実に地獄行きだと思います・・・
1年の解剖学実習、2年の生理学実習で
仔牛、成牛、成犬、マウス、ラット×5
これだけの命を食べる訳じゃないのに奪ってしまいましたから。
成牛は教授が放血殺するのをただ見ていただけだけど、
マウス、ラットは自分で麻酔かけて、放血殺しました。
放血殺されると、断末魔をあげて痙攣しながら死にます。ラットであっても
結構大きな声をあげます。麻酔をかけているのに・・・

最初はすごい衝撃だったのにだんだん慣れていく自分・・・
嫌だなぁ~、慣れたくないなぁ。と思う一方、
獣医になったら安楽死だってしなきゃいけないんだ、だから今のうちから
慣れた方が楽じゃないか。とも思う。

こいつらの命を奪ったのと、これから救える動物の命、合わせたら本当に帳消しになるのかな?

このあと、成牛の解剖(教授のデモでしたが)、成犬の解剖(こっちは6人一体で)をして、無事に実習は終了。
実習の試験も座学の試験も何とか一発合格をし、解剖学は終わりました。
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  1. 2007/08/21(火) 10:28:10|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

大変だぁ・・・

確かに複雑な気もしますが・・・
しっかり勉強して救う命を増やして下さいね!
その為の犠牲ですね。
ボンが飛行機で北海道から来た時
同じ貨物で沢山のワンコたちが着いたみたいで
多くは「××大学・実験動物運搬車」と書かれた車に乗せられてました・・・
運命だからしょうがないんでしょうが、その時も複雑な思いで、ボンと初対面をしたのを思い出します。
  1. 2007/08/21(火) 16:34:00 |
  2. URL |
  3. ボンチチ #lMBqkpAs
  4. [ 編集]

ボンチチさん

こんにちは~☆

大体の実験犬ってビーグルなんですけど、
ビーグルの解剖後うちに帰ると同じビーグルのマックが寝ています。
生まれたところが違うだけで、この待遇の差・・・

ボンくんも、マックも、カイも、こたろうも、他の可愛がられているわんこたちも、
みんなペット生まれでよかったね。

運命だけど・・・でもちょっと割り切りにくい問題ですよね。

いただいた命は無駄にしないように、たくさん命を助けられる獣医にならなくちゃ!!

  1. 2007/08/21(火) 20:10:49 |
  2. URL |
  3. mk #lhaZYHkU
  4. [ 編集]

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  1. 2008/08/07(木) 07:26:20 |
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管理人→mk。獣医学部2年生です。1986.7.9生まれ
長老→マック。15インチビーグル。まだまだ元気!!1992.1.16生まれ
黒い悪魔→カイ。フラッティ。いつでも元気!!2003.11.3生まれ
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